
2021年は成功に向けて邁進
困難な時代の終わりには、変化が到来します。変化で重要となるのは回復力です。回復力により復興が進み、発展が促進されます。2021年は確かに課題が山積みの1年となります。しかし、そうした課題に取り組むなかで、職場の刷新や、根本的な考え方を見直すなど、かつてない程に成長する機会やまったくの新しい事業展開の方法がもたらされるはずです。
2021年、当社はクライアントが現状を乗り越え成功することを期待しています。そして当社は、皆様の側にいて皆様の事業を支え、皆様の従業員や顧客に心を配っています。当社の最も差し迫った優先事項は、当社が皆様と皆様の組織をどうベストな形で支えられるか、ということに変わりありません。つまり、従業員を身体的にも精神的にも健康に保ち、リスクを軽減して損失を削減し、皆様の事業とブランドを保護し、一層高めることです。
逆境の余波を受けても成功する人は、多くの場合、単に最後までやり遂げるのではなく、適応、調整しながら俊敏性を保ち、変化を熱心に取り入れています。「今」から「次」に移行する中で、Sedgwickのソートリーダーたちは先陣を切って努力して取り組み、何が起きようともクライアントがそれに備えることができるようにしています。Sedgwickでは、50年以上もそうしているように、皆様が関心を向けて信頼を置くことができるパートナーとなり、皆様の組織が利益を保ち好調な業績をあげ、2021年も成功できるよう尽力します。
逆境の余波を受けても成功する人は、多くの場合、単に最後までやり遂げるのではなく、適応、調整しながら俊敏性を保ち、変化を熱心に取り入れています。

回復力
2020年に従業員が受け続けていた影響に対処するには、どうすればよいのでしょうか。新型コロナウイルスは世界中で、身体的、精神的、財務的な健全性に長期的に影響を与えました。たとえば、財務的な健全性の問題が、請求、調停、不正行為の傾向に反映されていることがあります。回復力トレーニングプログラム、財務支援リソース、メンタルヘルスの取り組みなどを職場で統合することで、長期的な影響が出ているなかで前を向いて努力するよう従業員に求めるのではなく、会社が発展するためのツールを従業員にアクティブに提供できるようになります。
誰もが疲弊しています。この困難な年に苦しい状況が続く中でそれらに対処し、ストレスレベルは上がる一方です。多くの人が、コロナ疲れにより個人的なストレスを抱えています。多くの組織では、景気が後退する中でも成功し、強まる規制と要件をつねに把握し、従業員の士気を保ち、テクノロジーと実生活の間でバランスを探っている中で、コロナ疲れを感じているでしょう。職場復帰に関する不安やワクチン接種に関する懸念もあります。しかし、ワクチンや治療法が確立される将来に目を向ければ、具体的な対策を講じることで、より高い順応性を身に着けられるよう従業員をサポートし、職場復帰に関する懸念要因を払拭できるでしょう。たとえば、職場安全プログラムや業界の衛生への投資、一貫したコミュニケーションの確保、職場復帰支援プログラムの構築、トレーニングによって知識とスキルを拡充する機会の推進などです。
この危機から得られた教訓は何ですか。どのようにプロセスを改善し、危機発生時に迅速に対応できるようにしたでしょうか。クライアントがこの業界に関心をもつのは、事業中断への対応、さらなる損失の抑制、運営システムの変更など、中核事業を守るための支援が必要となったときです。当社では、危機のリソース、復旧ツール、行動計画、支援ネットワークなどによって準備を整えることができます。
新型コロナウイルスの影響が続くと、賠償責任の傾向が変化する可能性があります。総合賠償責任では何が起きるでしょうか。小売業者、病院、航空会社などに対して、濃厚接触したとして賠償を請求する人が増えるでしょうか。リスクの軽減では、接触者追跡と濃厚接触追跡の果たす役割が大きくなる可能性があります。新型コロナウイルスの対応で使用される製品や供給品の試験の承認プロセスが加速化したため、製造物責任のケースやリコールが増えるでしょうか。小売業者にとっては、製造物責任リスクも引き続き懸念事項です。最終的には、市場の販売構造のどこに責任があるのでしょうか。サプライチェーンにはどれくらいのリスクがあるでしょうか。後ろ向きな状況になっても、問題点に素早く対応できるよう体制を整え、発展的な話を生み出すには、どうしたらよいのでしょうか。

人材
生産性
パンデミックの真っただ中では、多くの労働者がフルタイムで在宅勤務しました。多くの企業では、パンデミック後に在宅勤務のオプションを増やす計画を策定中です。雇用主は、在宅勤務をしている従業員がパンデミック後もしっかりと関わりを持ち、また安全を確保できるようにして、孤立感を感じないよう取り組む必要があります。その他考慮すべきこととして、在宅勤務者の安全、人間工学(エルゴノミクス)、傷害の補償が含まれます。
パンデミックによって経済的に不安定となったため、60歳以上の従業員の退職金制度は保留され、業界で人材が不足するなかで必要な人材を保持でき、雇用主は多少安堵しているところです。しかし、一部の雇用主はすでに気が付いていますが、高齢者はウイルスに対して弱く、リスクが増幅される可能性があります。その一方で、景気低迷中に一時解雇ではなく早期退職制度を利用し、労働者を減らすことを余儀なくされ、結果としてナレッジが欠如しそれを埋めることに悪戦苦闘している雇用主もいます。このような状況では、後継者育成の計画やトレーニングをどのように活用できるでしょうか。
経済においてパンデミックに対処するとき、失業と一時解雇は頭を悩ませる問題です。守るべきは雇用主と従業員の両方です。多くの雇用主にとって不慣れな制度への対応の複雑さは重荷となります。政府支援の救済プログラムや一時解雇プログラムと、それらが給付金/請求額に与える影響の微妙な違いに苦戦することは言うまでもなりません。また、従業員が変化する状況や、労働者としての役割と介護をする役割の両方に適応していくとなると、疾病就業は引き続き懸念材料となります。リソースが減少したとき、どこに支援を求めますか。移行期間中に、従業員をどのように支援しますか。クロストレーニング、フレックスタイム制、その他の革新的プログラムを導入する組織は、困難がある中でも発展するでしょう。
企業では、どのようにして、拠点全体で、国境に関係なく、従業員の安全と健康を優先できるでしょうか。孤立主義から抜け出し国際的な取引や出張を再開するため、グローバルエキスパートたちは協力し、膝を突き合わせて関係性を再構築し、リスクを最小限に抑え、ベストプラクティスを共有する必要があります。当社では、事故や健康に関するグローバルプログラムを拡充して世界中の人々を支援し、さらに米国以外の世界の地域でもメンタルヘルスやその他のマネージドケアツールに注力していく予定です。

ケア
支援
心的外傷後ストレス障害(PTSD)を訴える人は、警察や消防のような従来の第一対応者だけでなく、パンデミックの最前線にあり、増加するトラウマに対処している医療従事者やその他の労働者の間でも増加すると予想されます。医療従事者やその他の重要産業の労働者にとっては、同僚から学び、同僚を基準にして評価することが非常に貴重となる場合があります。変更され続ける法律に関するガイダンスは重要ですが、それと同様にメンタルヘルスのサポートも大切です。新型コロナウイルスの影響が拡大すれば、医療体制における人員と能力の不足も深刻化する可能性があります。
技術により請求方法は進化していますが、人間がどう行動するかという根本にあるのは、依然として人的な要因です。技術が進化するにつれ請求プロセスが変わり、人の手が空きます。そうすると、手間のかかる請求事務処理と比べ、請求処理における人とのつながりの部分に時間を割けるようになります。
今後の新型コロナウイルスの治療とワクチンに目を向けると、配布、追跡、コンプライアンスにおいて課題が表面化してくるでしょう。当社では、慢性疾患やオピオイドとの戦いにおける薬物療法の進展、非犯罪化に関する法律の変更などにも注視しています。
新型コロナウイルスのパンデミック時、世界中の医師が患者本人の来院から仮想来院に急速に移行しました。このため、多くの変化を同時に管理することが必要となり、次に何が来るのか不安な思いを抱いています。パンデミックの終息後も遠隔医療を継続できるかどうかは、利用許可、費用負担、その他の規制の問題などによって変わります。米国では、遠隔治療、遠隔理学療法、遠隔患者モニタリング、その他の遠隔医療の選択肢の幅が増えており、当社ではこのような傾向が世界各地に広がりを見せるか注視しています。
物損請求と自動車関連の請求では、エンド・ツー・エンドソリューション、つまり請求サービスと付随サービスの統合によってプロセスを簡素化する傾向が見られます。インテークから解決までのすべてのタッチポイントをコンシェルジュレベルのサービスで管理すると、保険会社と被保険者にとって物事がシンプルになり、結果が改善されて顧客満足度が上がります。

技術
コンシューマー・エクスペリエンス
経済的が不安定になり、顧客の性向と問題点が突然変化したことで、多くの企業はデータ分析に頼り、費用効率を高めてオートメーションの機会を探るようになりました。分析の採用とその支出の急増は、中小企業も含めたあらゆるセクターで明白です。請求においてはテキストマイニングによって新たなチャンスが生まれ、請求サイクル早期に感情を分析して潜在的問題に対処できるようになり、新たな角度からデータ使用方法を見て、訴訟管理および請求終了の意思決定をサポートできるようになりました。
危機の時代には、データを適時に収集できることがきわめて重要となります。サプライチェーンの混乱、事業の中断、物損、データ侵害、リコールなどの大きな問題にクライアントが直面したとき、どのようにデータを活用して意思決定を支援できるでしょうか。グラフの先を見ることは困難です。パートナーシップや蓄積された専門知識を活用することが不可欠です。不安定の真っ只中では、技術によって迅速に立ち回ることができるようになります。人工知能(AI)によって当社プロセスに情報がもたらされ、人と技術の強固な連携により、これまで以上に効率的かつ効果的にサービスを提供することが可能となります。つまり、プロセスを全体的に効率化し、危機と困窮の時代に迅速に適応できるようになります。
デジタルな体験は変化しています。この業界ではこれまであまりデジタル化を重視してきませんでしたが、取り入れざるを得なくなってきました。スピードが変わり、用途が変わったため(接触者追跡、ワクチン追跡)、当社では技術を新しい方法で使用して請求プロセスの自動化や支援を行っています。先進的なデジタルツールにより、システム間の統合と通信、少額請求の直接処理、複雑な請求の自動経路決定、不正行為指標のフラグ設定、物損請求と自動車関連請求の仮想調整などが可能になり、可能性はこれからも拡大していきます。
顧客行動および好まれるやり取りの方法は変化し続け、デジタルサービスやセルフサービスチャンネルの利用に向かうトレンドが継続します。セルフサービスツールがこれほどまでに必要とされたことはなく、請求にまつわる作業やその結果を全体的に改善し、リスクを軽減するには、技術が重要となります。Sedgwickを例に挙げると、mySedgwickがより高機能化しています。新たな限界、新たなシナリオに拡大しています。
当社では、典型的な業務プロセスをオンラインに移行する方法を模索し続けており、保険業界内では、遠隔現場査定、現場訪問アプリ、仮想管理会議、人間工学と安全の評価、トレーニング用デジタル教室などのツールが導入、拡張されています。デジタルの世界では、この挑戦が本格的に続いています。

リスクの高まり
対応
異常気象や気候変動の影響、環境汚染や環境破壊、ランサムウェア攻撃などのサイバーイベントなど、自然災害や人為的災害により、農業、海運、物流、その他多くの産業部門および国際市場にわたって財産や事業が影響を受けています。ここに終わりの見えないパンデミックが加わり、災害によって最悪な状況を招くリスクが発生し、どのような企業でも影響を受ける可能性が出てきました。第一対応者と現場査定人はソーシャルディスタンスのガイドライン、隔離、ロックダウンに直面し、通常の実地調査は全体的に混乱に陥り、災害対策はかつてない試練を受けています。リソースを特定して動員し、被保険者のニーズを満たすことは、特に請求が急増している状況では際限なく困難になり、危機的な状況でもあります。
2020年からは、対応能力の低下、新しい適用除外、社会不安、異常気象、ソーシャルインフレーションなど、多くの要因が絡み合って市場をより一層厳しいものにしています。契約条件によって対応能力が低下し、料率が上がり、補償不足が忍び寄る中で、被保険者はどのようなオプションを利用できるでしょうか。リスク軽減の重要性は新しいレベルに達し、キャプティブと自家保険が、さらに魅力的な選択肢になります。
サプライチェーンの流れを維持しているエッセンシャルワーカーは、ソーシャルディスタンスの必要性、長期にわたるロックダウン、隔離要件など、パンデミックのリスクの影響を引き続き受けやすくなります。パンデミックが続くと、エッセンシャルワーカーはPPEおよび危険手当を要求し続けます。ITなどのサポートサービスは、ベンダーの問題のために悪化する可能性があります。サービスサプライヤー、特に新型コロナウイルスの影響が大きい地域で広範に営業する海外ベンダーは、リモート業務により仕事が制限されるか、リモート作業ができなくなる場合があります。
経済的に不安定で変動が激しい時代の中を切り抜けていくとき、アウトソーシングとリソーシングの未来はどのようになるでしょうか。信頼でき、しっかりしたパートナーを持つことが重要です。スタッフやサービスの増加と削減のどちらが必要か、経済やリソースが変化する中で新規市場に参入する必要があるかどうか、専門分野における技術的なインサイトが必要かどうか、コンプライアンスや規制に関する専門ガイダンスが必要かどうかにかかわらず、広い視野が不可欠です。
新しい在宅勤務経済のためにサイバー攻撃のリスクは高まり、雇用主は、サイバー犯罪者、フィッシング関連の攻撃やランサムウェアよりも先手を打つ必要があります。

規制の変化
コンプライアンス
パンデミックにより雇用主には安全、追跡、報告の負担が増加しています。従業員と顧客の安全重視が最優先であるため、雇用主は、隔離、ソーシャルディスタンス、仕事復帰の安全計画、ワクチン接種のガイドラインを常に把握している必要があります。急速に改正される法律のために境界が曖昧になり、透明性と情報共有が必要になるため、企業ヘルスケア、労働者災害補償/使用者賠償責任と就業不能・休暇に関する取り組み、チーム間の統合とコラボレーションが重要になります。
当社では、総合賠償責任、医療過誤、重役と役員の責任などの分野において、事業の中断や補償対象の訴訟の財務的影響をグローバル全体で評価しているため、補償範囲の決定において重要な役割を果たすことができます。このような状況では安全と軽減の対応が重要であり、証拠書類、専門ガイダンス、追跡と調査の能力により、不安定な状況において形勢が一変する可能性があります。当社では、今後のパンデミックの影響の軽減に向けた新しいプログラムが作り出されるたびに、物事がどのように転換するかを注視して行きます。
新しいプライバシー規制が世界のさまざまな地域で発効し続けており、プライバシーに関する懸念が接触者追跡の取り組みとの関連で増加し、付随問題となることで、2021年にはその深刻度が高まる可能性があります。新型コロナウイルス感染症(場合によってはワクチン接種)の追跡に使用される接触者追跡のアプリやテクノロジーが増加する中で、プライバシー保護が極めて重要になっています。人々が通常の生活を再開し始めると、新型コロナウイルス感染症の新しいクラスターを封じ込めるため、接触者追跡が不可欠になります。しかし、最善と考えた策であっても疑問視され、プライバシー違反の危険性があります。

トレンド
転換
新型コロナウイルスにより、仕事、かかわり、消費、生活の方法は根本的に変わり、請求プロセスの過程も変化しています。遅れた外科手術はどのような影響をもたらすでしょうか。不適切な在宅勤務の人間工学にはどのような影響があるでしょうか。医療不足の増大はどのような影響を及ぼすでしょうか。新型コロナウイルスは、どのような長期的影響を健康と準備金に及ぼすでしょうか。仕事復帰の取り組みにより、どのように全従業員をスムーズに再びまとめられるでしょうか。1年を通してこのような問題に答えられるようにするためには、常に機転を利かせられるようにする必要があります。
組織は、パンデミックとその経済的低迷が続く期間、沈んでしまわないようにするため、さまざまな戦略を模索し続けます。ほぼすべてのセクターが苦戦し、旅行需要は不相応なほどに影響を受け続け、その影響は、接客業、観光、小売、娯楽など、その他の産業に波及しています。オンデマンドモデルまたはギグエコノミー・モデルへの転換というように適応するにつれて、将来の見え方は変わります。新モデルを受け入れられる人には成功のチャンスがあります。
新しい政権と規制が、パンデミック、移民、医療、貿易などの取り扱いにどのような直接的影響を与えるかが見え始めてきます。その上、英国がEU離脱後の変化に直面していることにより、地政学的問題が保険部門と請求に国際的な影響を及ぼしています。米国や香港など、世界のさまざまな地域における市民の不安により、厳しい市場において保険による保護の需要が高まります。
社会正義のための運動が世界中で起きていることにより、保険業界のみならず他の業界でも、企業がダイバーシティ促進の取り組みを重視し、インクルーシブな雇用慣習を積極的に評価しています。観点が多様になるほど、ソリューションも多様になり、ひいてはより良い製品やサービスをクライアントに提供できるようになります。